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石田 通也[espace social Le SALON] http://salon-matsumoto.com
1970年生。日本を代表するソムリエの一人。27歳で「ソムリエ」呼称資格認定。30歳で「シニアソムリエ」呼称資格取得。2002年、2005年に全日本最優秀ソムリエコンクール 準決勝進出。2012年、フレンチレストラン「espace social Le SALON」をオープン。

COLUMN コラム

No.2 石田 通也[espace social Le SALON]

ソムリエの仕事は「お客様に楽しんでいただくこと」

ソムリエとは、一言でいえば、サービスマンです。

「食事に合ったワインを用意する人」というのは、間違ってはいませんが、ソムリエという役割の一部に過ぎません。

レストランでは、料理は「シェフ・ド・キュイジーヌ(料理長)」が統括し、「料理以外のサービスに関すること」は、「ソムリエ」が担当します。ソムリエの仕事は「料理以外のすべて」ですから、「ワインを選ぶこと」は仕事の一部にすぎず、ウイスキー、ブランデー、カクテルから水、葉巻に至るまで、接客のすべてに対応できる必要があります。

世の中では一部で「ソムリエとは『ワインの鑑定家、専門家』であり、お客はソムリエの蘊蓄(うんちく)を傾聴しなければならない」といったイメージが流布していますが、私はそれはおかしいことだと思っています。

レストランでは料理でもワインでもなく「お客様」が主役です。ソムリエの職務は、お客様に楽しんでいただくこと。お客様がソムリエに合わせるのではありません。ソムリエがお客様に合わせるのです。ソムリエとはサービスマンなのですから。

※ CHEF(シェフ)とは、英語のCHIEF(チーフ)と同じく、本来は「主任」の意味です。したがって「料理長」は、シェフ・ド・キュイジーヌ、「ソムリエ長」は、シェフ・ド・ソムリエとなります。

よいソムリエの見分け方

レストランでワインをボトルで頼んだときに、一回に少量しかグラスに注がないソムリエは、とても仕事熱心なソムリエだと思ってあげてください。

日本のお酒は基本的に、いっぱいに注ぐことをよしとする「なみなみ文化」です。そうなると、お客様としては「どうしてこのソムリエは、もっとなみなみ注いでくれないのだろう」と思うかもしれません。しかし、ワイングラスにおいて内部の7割~8割は「香りを入れるスペース」なのです。

そもそも、一回に少ししか注がないということは、それだけソムリエは何回も来て、注ぎ直さなければいけません。その面倒をあえてしているのは、そのソムリエが「お客様にワインの香りを十分に楽しんでほしい」と本気で思っているということなのです。

ドイツワインの無念

最近は、「ニューワールド」と呼ばれるエリアのワインがシェアを伸ばしています。一方、ドイツのワインが昔に比べて売れなくなりました。私としては残念なことです。

かつてドイツワインは、フランスやイタリアと並び、日本の消費者にとってある種のブランドを勝ち得ていたワインでした。

しかし、近年はドイツワイン主要ブランドの粗製濫造の影響か、「ドイツワイン=甘いワイン」というイメージがついてしまい、売れ行きが落ちました。

しかし本当のドイツワインは、信じられないほど美味しいのです。

そもそもドイツは、ワイン用葡萄が育つ北限の地にあります。葡萄は、寒い土地で育てれば酸味が乗りやすいもの。本当のドイツワインは決して甘いものではないのです。

もしドイツワインに興味をお持ちになりましたら、まずはリースリング(Riesling)という葡萄品種のワインを飲んでみることをお勧めします。

コルク栓をラクに抜く方法

コルクをスムーズに抜くには、簡単に言えば栓抜きをコルクにまっすぐに入れればいいということになります。

皆様は、栓抜きそのものをコルクと垂直に入れようとします。しかし、これが間違い。なぜなら、スクリューの先端は斜めになっているので、栓抜きを垂直にしても、先端は垂直に入らないからです。

先端を垂直に入れるには、まずは栓抜きを斜めにすればよい。そうすれば、最終的にスクリュー全体をまっすぐ没入させることができます。

女性でも力を入れずに抜栓できるワインオープナー

よいコンセプトの製品だと思います。今、日本でワインを楽しんでいる方の多くが女性ですが、そこで障壁になっているのが抜栓(ばっせん)です。

コルクを抜くためには力が必要なので、女性にはつらい作業です。また、抜くために力を入れようとすれば、ボトルを両足の間に挟む格好になってしまうのも問題ですね。

しかし、こうした電動オープナーを使えば女性でも簡単にワインが抜栓できます。

電動オープナーはいくつか見てきましたが、AMUSERの製品はサイズが小ぶりで、これなら女性でも持ちやすいですし収納もラクだと思います。

手軽に空気が入れられるシャンパンプリザーバー

個人的に興味があるのが、シャンパンプリザーバーです。

スパークリングワインは、いったん抜栓したら早く飲まないとガスが抜けて、風味が落ちてしまいます。

抜栓後にこのようなプリザーバーを使えば、手軽に空気を注入し、ガスが抜けることを抑えられます。

シャンパン内部は6気圧。外の気圧(1気圧)の6倍です。それだけの高気圧を抑えるには専用の器具がないと難しいですね。その点、このプリザーバーなら手軽に使えるのでいいのではないでしょうか。

空気との撹拌が簡単にできるエアレーター

ワインは、「グラスに注ぐときにはなるべく空気と混ぜた方が美味しくなる」というお酒です。その「空気との攪拌」が簡単にできるのだから、これはよい道具ですね。

AMUSERのように、小道具の麺からワインを盛り上げるという動きは、私としても大歓迎です。今後も日本の皆さんが、ワインを美味しく楽しく飲めるよう、一緒にがんばっていきたいと思います。

※ 若いワインの場合です。古いワインは空気と混ぜる必要はありません。

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